※家三豊臣軍同僚なりたて時代
※なんか、こう、二人とも頭悪いです。
※性的表現を含むため、18歳未満の方はご遠慮ください。










庭では春告鳥が下手くそな恋の歌を練習している。
長く続いた冬が漸く終わりを告げ、雲間から差し込む日差しに照らされた木々は淡い色合いの花を飾り出した。
まるで今の自分のようだと、家康は逸る気持ちを持て余し握りしめた拳に力を入れた。

数年振りに顔を合わせた覇王はやはり大きかったが、以前顔を合わせた頃に比べれば随分とその差は縮んだように感じる。いいように手のひらで遊ばれされていた豊臣随一の軍師もまた驚くほど小さく感じ、自分が成長したためだろうと身長と共に自信も伸びた。
ただ、この高揚は己の成長を実感したからだけではない。
直にやってくるだろう、幼馴染を思ってのことだ。

家康がまだ竹千代と呼ばれていた頃。
白銀の髪が輝かしい少年と共に過ごした時期があった。名を佐吉という。
立場のこともあり、当然のように家臣は家康を重んじた。しかし、過保護なまでに気を配られると伸び悩んでいた身長のことを言われているような気がして、無性にやるせない気分に陥るのであった。
今思えば何度も攫われては忠臣に助け出されていたのだから当然としか思えないが、年頃の少年にはその心配りすら煩わしく思えてしまった。
そんな、成長期の遅かった竹千代を侮るでもなく、ありのまま受け入れてくれる存在は稀有であり、別け隔てなく付き合ってくれる佐吉のことを心底好いていた。
それはうっかり求婚紛いの真似をしてしまうほどには。
「竹千代が竹千代のまま、変わらずにいてくれるのならば」
と、困ったように照れたあと、ふわりと浮かべた笑みを思い出すだけでどんな苦境にも耐えられた。

あの頃、竹千代は佐吉よりも大分身長が低く、すらりと伸びた指先まで美しい佐吉には決して相応しい男とは言えなかった。しかし今ならばどうであろうか。
漸く訪れた成長期に、竹千代はぐんと身長が伸び、逆に声は低くなった。竹千代という名は家康へと変わったが、いまだ佐吉を思い続ける気持ちはあの頃と何一つ変わっていない。
佐吉はどれほどまでに美しく成長しているだろうか。
美しく成長した顔で、あの頃のように微笑まれたら家康は昇天してしまうかもしれない。

廊下から近付いてくる足音に、落ち着けようとしても心臓が激しく脈打つ。
佐吉は昔から足音を立てずに歩くのが上手かったが、急ぎこの部屋に近付いてくる足音が隠しきれていない。足音が弾んでいるように聞こえるのは、都合のいい幻聴だろうか。
ひたりと部屋の前で止まった足音に息を止めて待つ。
「失礼いたします」
襖の向こうからかけられた涼やかな声は記憶に残る不安定な甘さを含んだ声よりも低く、彼もまた成長したのだと知れる。
半兵衛が了承を返すと襖が開かれ、日の光を弾いた白銀の髪がきらりと光った。思わず息を呑む。
美しくなるだろうとは思っていたが、まさかこれほどとは。
体を起こす動きにつれて揺れる髪と同じ白銀をした睫が頬に影を落とす。きめ細かな美しい肌はあの頃と変わることがない。揃えられた指先は桜貝のような爪に守られている。
そして何より、ゆっくりと開かれた瞳が、あの頃と何一つ変わらず美しい。
その顔に薄く笑みを刷いて視線が室内を見回すが、目当てのものが見つからないのか困惑が笑みの代わりに浮かんだ。恐らく、急激な家康の成長に家康自身であることに気付いていないのだろう。それが誇らしく、どこか寂しかった。
「久しぶりだな、佐吉…いや、三成、か」
先ほど半兵衛から教えられた、彼の元服後の名だ。呼び慣れない名前に戸惑いを覚えるが、以前のように何度も呼び合っていればすぐに慣れてしまうだろう。
差し出した手は一瞥されただけで取られることがなく、あれ、と目を瞬く。
「半兵衛様、竹千代は…」
三成が探し求めているのは確かに自分であった。それに、密かに安堵した。
苦笑いを浮かべた半兵衛が家康を指差す。
「随分と大きくなったけれど、彼が竹千代君だよ。今は『家康』君だけれど」
「三成、ワシだ。元服して名は変わったが、ワシが『竹千代』だ」
つい間髪いれず、自ら名乗り出てしまう。早く三成の声で名を呼んで欲しかった。
「……たけち、よ…」
目を丸くして愕然とする三成の双眸が家康を見つめる。
真っ直ぐ家康を見る視線に顔が熱くなる。いまだ成長した三成の美しさに慣れていないのだ。

まるで世界に二人だけのような錯覚に陥っていたのは当然家康だけであり、青くなってふるふると震えだした三成を前に、半兵衛と秀吉の二人が哀れむような視線を送っていたのには終ぞ気付くことがなかった。
「……か…」
「え、」
「かわいくない!」
家康が見惚れていた美麗な顔を歪めて叫ぶや否や、上座にかけた半兵衛と秀吉に入ってきたときと同じように礼をすると恐ろしいほどの早さで部屋を出て行った。
握手を求めて差し出した手は宙に浮かんだまま行き場をなくし、ゆらりと揺れる。あまりのことに声すら出ない家康の肩に、秀吉の大きな掌が慰めるように添えられた。
「…あまり、気落ちするでないぞ、家康」
「まあ、こればっかりはねぇ…大きくなっちゃったし」
訳知り顔の大人たちに挟まれ口々に慰められはしたものの、想い人のあまりにもあんまりな態度に、若干涙目になっていた。

突然訪れた衝撃に、下手くそな恋の歌が沈黙を通り抜けて行った




 

 

(中略)

 

 

 

鼻が触れ合うような距離で言えば、しばらく無反応だった三成が瞬間沸騰したように真っ赤に染まった。
その反応はまるで予想外で、しかし背中を押された気がしてそのまま顔をずらしすと耳朶に触れるようにして囁く。
「可愛いよ、三成。本当に可愛い」
「う、うるさい」
もう押さえつける腕を離しても暴れないとわかっていたので、既に手は三成の袷を開いて素肌に触れていた。
「ここも、小さい。かわいい。赤くなって…ほら、硬くなった」
先の戦でも傷を負った指先が胸元の尖りに触れる。胸元は完全に開かれて、三成が息をするたびにそこが家康を誘った。顔を寄せて周囲の肉ごと口腔に誘い込む。生温かい舌に嬲られて三成が声を漏らした。
「舐めるな…ッ、か、噛むな!」
小さく歯を立てると細い指が家康の髪を掴んだ。引かれて顔を上げると、闇の中で色付いた胸元が濡れて怪しく輝きを放っていた。
「肌触りも凄くいいし。ほら、また赤くなった」
掌で首筋までなぞり上げ頬に手を添えると、わずかに開いた三成の口元に舌を滑り込ませた。逃げようとする舌を捉えて散々柔らかさを堪能すると、優しく撫でるように上顎を舐めあげる。
「んぅッ」
「口の中が甘いな。そういえば、甘いものが好きだったものな。甘いものばかり食べていると、舌まで甘くなるのか」
「そ、んなわけ、あるか!」
口付の余韻で息も絶え絶えな体は簡単に抑え込める。
「じゃあ、こっちはどうかな」
「ば、ばかァ、ッ」















以前ついったでこぼしたような気がする、ちっちゃいもの愛好家な三成の話です。
家康は幼い頃に交わした約束を胸に三成と再会を果たすも、三成の態度は豹変していて…

ラブコメというよりバカコメです。豊臣軍もわりと登場したり。
本当はP28くらいの予定だったんですが、気付いたらページ数が増えていました。
家康がヘタレでも三成がツン(当社比)でもエロはエロなので、18歳未満の方はご覧いただけません。ご理解とご協力のほどお願いいたします。

120318発行